寳持院と鍋島直茂
寳持院と鍋島直茂
■所在地佐賀市本庄町
■年代中世
■登録ID734
「直茂公は、梅林庵にて御手習遊ばされ候。其の時分梅林庵近所の寳持院、御鬢御衣装諸事の御給仕心に入れ勤められ候。公御成長の後、寳持院へ、『何にても望みの事相叶へ遣はさるべき。』旨仰せられ候處、『私何も望みこれなく候。蒟蒻を一生たべ申し度く候。御懇に仰下さるゝ事に候間、此の望み御叶へ下され候へ。』と申し上げられ候。それより一生の内、二日に一度宛、御使にて蒟蒻を遣はされ候由。」(『葉隠』聞書三)
これは『葉隠』に記されている1項である。直茂は、少年期に梅林庵で手習の間、寳持院の和尚に身の廻りなどの世話になっている。成長した直茂は、和尚に望みのもの贈ることを申し出、和尚は蒟蒻を所望した。直茂はこれに応え蒟蒻を贈り続け、いつまでも感謝の気持ちを忘れなかった。ほほえましい逸話である。
出典:葉隠ワークショップ中野和彦氏寄稿