旧百﨑家住宅主屋
旧百﨑家住宅主屋
■所在地佐賀市水ケ江
■文化財指定状況国登録有形文化財 登録有形文化財
■文化財指定日平成29年5月2日
■登録ID5365
旧百﨑家住宅は、佐賀市の中央部、佐賀城南堀端から東西に延びる水ヶ江横小路の南側に北面して建つ。敷地の西側と南側は佐賀平野特有のクリークに面し、「佐賀城廻之絵図」(元文5年・1740)・「佐賀御城下絵図」(文化11年・1814)によると藩政期には佐賀藩の御典医を務めた石井家が居住する武家屋敷地であったことがわかる。所有者は、石井家から続く家系で代々医者を務めており、主屋では以前診察も行われていたという、また祖先の石井如自は、佐賀近世文壇の先駆的作家と称される俳人として有名で、明治期の百﨑欽一も医者として医院を経営する傍ら俳人として活躍した人物である。
屋敷は、明治前期の建築と考えられる寄棟造茅葺の主屋とその南西側に昭和6年に増築された二階建ての離れが附属する構成をとる。茅葺屋根は棟を三方に鉤の手状に折り曲げた複雑な外観を持ち、四方に桟瓦葺の下屋を廻らして全体的に立ちの低い造りとする。主屋の座敷は南側にある庭園に向けて開放的な造りで、内部造作は簡明ながら質が高い。
旧百﨑家住宅は、佐賀城下において来歴の判明する武家屋敷地に建ち、御典医と俳人の流れを有する所有者によって代々受け継がれてきたもので、茅葺の主屋は複雑な屋根形状からなる地方的特色と質の高い武家屋敷の様相を有し、佐賀城下における往時の景観を今に伝えるものとして価値を有している。