紙本墨書東遊歌神楽歌 一巻

  1. 旧佐賀市
  2. 勧興校区
  3. 紙本墨書東遊歌神楽歌 一巻

紙本墨書東遊歌神楽歌 一巻

  • 紙本墨書東遊歌神楽歌 一巻
  • 紙本墨書東遊歌神楽歌 一巻

■所在地佐賀市松原二丁目 鍋島報效会
■文化財指定状況国 重要文化財
■文化財指定日昭和9年1月30日
■登録ID5334

東遊歌(あずまあそびうた)とは関東から東海道の一部を含めた地方の風俗歌で、「三代実録(さんだいじつろく)」の貞観(じょうがん)3年(861)3月14日の条に倭舞と東舞の記述があるが、大和地方の倭舞とならんで祭礼で一定の方式で奉納されるようになった。
この本の東遊歌に続いて記されている神楽歌(かぐらうた)は、もともと神前で奉納する楽舞であるが、その中でも宮中で奏される特定形式の神事歌謡を集めたものである。宮中向きに歌詞や曲調の構成に工夫したものであり、この宮神楽は宮中の清暑堂で奏されたが、長保4年(1002)からは内侍所(賢所)の前庭において奏されるようになった。当日夜になって篝(かがり)火をたいて、神をお迎えする歌舞から始まり、ついで神をなぐさめ、人も楽しむ歌舞が主要部で、最後に神を天にお送りする歌舞が、夜が明けるころに終わるという構成になっている。一夜を歌い舞うので歌の数も多い。
鍋島家本は東遊歌と後に神楽歌を採録してある。字体は万葉仮名を主とし、古い平仮名字体も交える。共に平安時代後期の写本であるが、他本との歌詞の異同・各詩の唱法及びその作法等の記載が多く、奉納の順序が整然と記載されており、優れた資料的価値を持つ。
(写真:鍋島報效会提供)