舟形石棺(附あり) 一合

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■所在地佐賀市城内一丁目 佐賀県立博物館(佐賀市)
■文化財指定状況国 重要文化財
■文化財指定日平成元年6月12日
■登録ID5331

佐賀市久保泉町川久保にある標高55.5メートルの熊本山の北側高所から箱式石棺1基、南側高所から箱式石棺5基と舟形石棺1基が昭和36年(1961)に出土した。
舟形石棺は、径30メートル余りの円墳と思われる高まりの土中に直接埋置されていた。福岡県八女(やめ)地方産の阿蘇熔結凝灰岩を3室に刳りぬいた身と蓋(ふた)からなる石棺は、長さ4.3メートル、最大幅88センチメートル、身の最大高53センチメートルと長大で、内面は赤く塗彩されている。身・蓋とも刳り抜きや両端にある孔は対応し、身の両側面にも円孔が見られる。身の底部は、舟底形を呈しゆるやかな曲線をえがき、内部は、主室を中心に両端に副室を設けておりその構造は舟型石棺の名称にふさわしいものである。
中央室の刳り抜きは長さ2.03メートルで、造り出し枕に頭を置いた人骨1体と差し違えてもう1体の人骨があり、鉄剣2口・鉄刀1口が出土した。中央室の両側にある小形の刳り抜きのうち、枕側の北室に多くの副葬品が納められており、南室からは用途不明の鉄製工具1個が発見されたのみである。
北室からは、革綴(かわつづり)式の短甲(たんこう)1具、四獣鏡1面、鉄剣1口、釶(やりがんな)1個、鉄針1本、ヒスイ製とメノウ製の勾玉(まがたま)各1個、碧玉製管玉(へいぎょくせいくだたま)18個、水色のガラス製小玉162個、碧玉製紡錘車(ぼうすいしゃ)2個が出土した。獣帯鏡(径10.7センチメートル)は徳島県節句山2号古墳出土鏡と同じ鋳型で鋳造されたもので、熊本山のものが後鋳品である。
この舟形石棺は、その構造および副葬品などからみても、畿内地方の文化の影響を強く受けた5世紀前半ごろの所産であると考えられる。