鍋島本村南遺跡出土遺物 一括

  1. 指定文化財
  2. 佐賀県
  3. 検索結果
  4. 鍋島本村南遺跡出土遺物 一括

鍋島本村南遺跡出土遺物 一括

  • 鍋島本村南遺跡出土遺物 一括
  • 鍋島本村南遺跡出土遺物 一括
  • 鍋島本村南遺跡出土遺物 一括

■所在地佐賀市本庄町本庄 佐賀市文化財資料館
■文化財指定状況佐賀県 重要文化財
■文化財指定日平成4年5月27日
■登録ID5286

鍋島本村南遺跡は、弥生時代から近世にかけての時代幅の大きい複合遺跡であり、住宅地造成に伴い、平成元年度に発掘調査が実施された。
石製把頭飾(はとうしょく)は338号土壙から出土した。ほぼ完形で全長5.0センチメートル、十字状の飾り部分は長軸が5.0センチメートル、短軸が3.9センチメートルを測る。先端部は一辺2.2センチメートルの平方形をなし、上面、斜面・両側ともに丁寧な面取りが行われる。各コーナーには細い抉(えぐ)りが施されている。
銅戈鋳型は、弥生時代の345号土壙から出土した。残存長9.5センチメートル、幅7.3~8.3センチメートル、厚さ2.6~2.9センチメートルを測る。戈型は、最大身幅4.7センチメートル、最大脊幅0.9センチメートル、最大樋幅0.7センチメートルを測る。鋒部及び元部を欠損し、ほぼ中央部が残存している。内面は熱を受け黒色に焼けており、実際に鋳造が行われている。
細形銅剣は、弥生時代の2号土壙墓から出土した。鋒部を欠損し、全体の3分の2程度が残存している。残存長19.2センチメートル、最大幅3.9センチメートル、茎長2.3センチメートル、茎幅1.15センチメートルを測る。翼両側及び脊には刳込下部に至るまで、明瞭な鎬(しのぎ)が研ぎ出されている。元部においては、脊には鎬は及ばないが、翼両側には緩い研ぎ出しが行われている。関の片方を欠き、刃部も片方は刃こぼれが著しい。
これら3点の遺物は弥生時代中期前半のものと考えられるが、確実な共伴遺物が出土していないため、正確な年代は推定し得ない。しかし、銅剣は型式上、細形銅剣に属する古式のものであり、銅戈鋳型は現在のところ日本最古のものである可能性が高い。
また、朝鮮半島の無文土器にその祖型が求められる擬朝鮮系無文土器群が、ほぼ同時期の遺物として出土しており、上記3点の出土遺物は、この土器群の存在も含め、国内における青銅器生産の開始時期や青銅器生産集団の系譜など、青銅器生産をめぐる諸問題の研究に一石を投じる貴重な学術資料といえる。