蒸気車雛形 附貨車他 一台

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蒸気車雛形 附貨車他 一台

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■所在地佐賀市松原二丁目 鍋島報效会
■文化財指定状況佐賀県 重要文化財
■文化財指定日平成17年3月30日
■登録ID5277

嘉永5年(1852)に設置された佐賀藩精煉方では理化学を中心に科学技術の研究・開発にあたったが、蒸気機関の開発・試作にも尽力し、安政2年(1855)には蒸気車及び蒸気船の雛形に着手したとされる。同雛形は精煉方主任の佐野常民を中心に、中村奇輔、石黒寛次、福谷啓吉やからくり儀右衛門の名で知られる田中近江親子などによって作られたとされる蒸気機関車の縮小模型である。
蒸気車雛形は全長39.8センチメートル、車輪幅14.0センチメートル、全高31.5センチメートルで、ボイラーなどの主要部分は銅で作り、シャーシ、車輸等は真鍮等で作られている。'汽罐の内部構造は単純で蒸気圧が十分でなかったと思われるが、ギヤ等の機械技術の工夫によりそれを補い、アルコールを燃料として2基のピストンが歯車を通して車輪に連動する仕組みとなっており、高い技術水準を示している。
ほかに、貨車2台とレール付き台座、組立式板付きレールが付属している。貨車は木製で作られており、また台座は長方形の木製であり、直線状にレールが付けられており、展示するために使用されたようである。組立式板付きレールは8枚の円弧形の板付きレールからなり、組み立てて円形にレールが繋がるように作られている。円周上を走らせるのに用いられたものと思われる。
国産初の蒸気エンジンをもつ陸上交通機関の試作品であり、佐賀藩精煉方で製作されたとされ、幕末、佐賀藩の科学技術の水準の高さを示す重要な資料である。
(写真:鍋島報效会提供)