鐘楼 一棟

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  • 鐘楼 一棟
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■所在地佐賀市伊勢町 真覚寺
■文化財指定状況佐賀市 重要文化財
■文化財指定日昭和50年2月11日
■登録ID5149

浄土真宗真覚寺は、永禄年間(1558~1569)に創建され、鐘楼は元禄12年(1699)に建立されたものである。
桁行(けたゆき)2.81メートル、梁間2.55メートルで平面は正方形に近く、軒の高さは3.04メートルで、用材はすべて欅(けやき)材である。
屋根は本瓦葺、照り屋根で切妻造り、棰は二重角棰で化粧裏板張り、妻は破風打ち、懸魚(げぎょ)は腐朽して外れているので様式は不明である。柱は方柱で江戸風な細い面がとってあって、わずかに内転びに立てられていて、頭貫(かしらぬき)、腰貫、地貫によって軸部が固められている。柱下の礎石は30センチメートル角、厚さ6センチメートルの平石で基壇は高さ60センチメートルの乱石積み、床は粘土たたき仕上げである。
妻の大瓶(たいへい)束及び斗(ます)に四方に木鼻がつけられていて、大瓶束の下の方は獅子面の彫刻で飾られている。蟇股(かえるまた)は桁方向のものは、くり抜き墓股で、妻側は梵鐘の重みを考慮して板蟇股(平安後期以前)が使われている。梵鐘受けの虹梁と妻の虹梁は共に二段眉がとってあって桃山調、また頭貫の上に台輪が梁えられていて、これ等の木鼻が賑やかである。
屋根の重厚さに対し、吹き放しの四本柱の架構は簡明すぎる感じがするが、上中下三段の貫で絞め固められた柱は、やや内側に倒れて踏ん張っていて、力強さを表現している。
この鐘楼は県内の寺院建築の中でも、その価値は高く評価される。