磨崖仏

磨崖仏

■所在地佐賀市久保泉町
■年代近世
■登録ID2915

 磨崖仏とは、大分の臼杵石仏や相知の鵜殿石仏のように、自然の岩壁や硬い土に直接仏像を彫刻したものをいう。
 観音滝左手の大きな岩に、高さ1.5mほどの半肉刻の『如意輪観音像』が見える。コンクリート造りの籠り堂があって、一寸見え難いが、首を右に傾け滝の方を御覧の姿で、左膝を立てておられるが右手はよく見えない。滝の上に坐した姿か。
 如意輪観音は、右膝を立て三対の手には宝珠・宝輪などを持って居られるのが普通の姿。-奈良・西大寺-
 一切衆生の願いをかなえ、苦しみを救って下さるみ仏である。観音様は変化が多く、慈音院の聖観音・千手観音・后良十一面観音・西原二の馬頭観音などがあり、女性の姿をしておられる。
 金立山登山口から約3㎞のところにある「吹上観音」も美事であるが、こちらの観音が優しい顔に見える。造立銘がわからないので、いつ頃誰が彫造したかはっきりしないが、慈音院建立の1677年(延宝5)頃か。
 余技的彫造でなく実に精巧な立派な作で、よくもこんな山深いところに、美事な彫造をしたことよ。
 「ひたすらに救いたまえと祈る身は ふみわけたどる幽谷ここに」

出典:久保泉町史跡等ガイドブックp.78〜79