くんち

くんち

■所在地佐賀市三瀬村
■登録ID1299

古くは旧暦9月9日の祭りであった。九州地方ではおくんち祭りが盛んで、9日でない祭りまでおくんちと呼んでいる土地が多い。
9月の9日・19日・29日を3くんちといい、ナスビを食べる慣習が広いといわれる。中国では9月9日を陽の日の重なるめでたい日として重陽といった。
1桁の奇数のうちで1番多い数である九が重なるという意味で「菊の節句」と呼んで、菊酒を飲むならわしもあった。
 また、くんちは「供日」と書き、稲作の豊作に報謝し、神に新穀を供える日の意味もあった。古く土俗的な考え方として、山の神が田に下り、また田の神が山に帰る日として祭るところも多かった。春祭りが田の神が下ったことに対する豊作の祈願祭で、秋祭りは田の神が山に帰る報謝祭の意味が込められている。
三瀬のくんち(供日)は秋祭の1つと考えられており、新暦10月15日に地区の氏神を祀った神社で祭事を行なうところが多い。
 この日は招かれた神職(宮司)が、祝詞とお祓の儀のあとで、清めの舞として三番叟(さんばそう)を舞ったり、弓矢で的を射たりする。
 神前には、御神酒・シトギ・米・魚菜などを供える。シトギというのは、米を水につけ、なまのまま搗き固めたもので、火を用いなかった古い時代の食べ物である。生の大根を薄く切ってそえ、直会のはじめに御神酒とともにいただく。調味料を加えてないので、食べるのに困るほどうまくないが、大昔の食べ物はこうであったろうと、昔をしのびながらいただく。このあと各茶講内から持ち寄った酒肴で直会(神人共食)の宴があり、儀式を終わる。
 くんちは農村の子供たちにとっては、最も楽しい日で、神社の境内に出店がでることもあり、村芝居などもあった。

出典:三瀬村史p648