作出

作出

■所在地佐賀市東与賀町作出
■登録ID1147

作出は東与賀町の中央よりやや南に位置して南北に細長く、北は町役場や農協等の敷地をも包含し、南は東西に走る町道を挟んで新村に連なっている。現在の世帯数は127で本町内では大村落の一つに数えられている。
昔は「作土井」という名称で呼ばれていたが、今は「作出」に改名された。この村の西部にある住吉の「裏土井」が、この邑の中央を東へ連なっている土井を「作土井」と言うことから、この名称が生まれたことは間違いない。ここに住む檀徒へ本庄町の常照院からの案内状に「造(つく)土井」の宛先が書かれてくるが、「作土井」の前は恐らくこの「造土井」の字名であったろうと推察される。もう数百年も前現在の小中学校の直ぐ南側にあった土井に次いでこの「作土井」が築かれ、更にこの邑の南方1㎞の箇所に「松土井」が構築されその遺跡は現在も残っている。このようにして、わが東与賀の土地は、次々に干拓され南部へ伸びていったのである。この作出も昔は南・中・西周路の三つに分かれていたが、昭和30年の頃から1班より8班に分けられ大字は田中に属している。
この集落で地理上目立つのは、日常生活に最も関係の深い堀、クリークのことである。どこの村にも縦と横の堀が掘られているが、この作出と中割は縦堀ばかりで横堀は極めて少ない。これは上流の多布施川から流れて来る水流の関係で、水害や干魃の被害から逃れるためであるらしい。しかもいざという急場を考慮して、至る所に井樋を設けてその対策を講じている。ぼんぼん井樋をはじめ数多くの井樋が掛けられており、一時に溢れる水害や日照りの際の水貯蔵に役立てたのである。

出典:東与賀町史P1195