西の宮

西の宮

■所在地佐賀市東与賀町今町
■登録ID1120

西の宮は農家の餅祭りで田の豊作を祈願するものである。毎年5月21日の苗代かきの頃と、10月17日がその例祭である。その前番帳さんの家で紅白の餅を2斗搗(つ)き、当日早朝7時に「伊勢皇太神宮」と書いた旗を立てて戸主がお供しご馳走の行列をつくり、お宮に集まるのである。定刻になると粟島神社の宮田宮司により祭典が始まるが、祭壇には大きい紅白の餅を中心に酒肴・白餅米・赤飯・野菜・果物等が所せましとばかりに供えられている。宮司の祝詞がすむと、若者数名がお宮の屋根に登り、神に供えられた紅白の餅を参詣の人々に投げ与えるのである。何しろ2斗にも余る大小の餅を屋根上の天上から振りまくのであるから、下界で拾う人々は大賑わいである。餅拾いも上手下手があって、多く拾う人は30個や50個も拾い、下手な人は僅かに2、3個、それでも拾った餅を大切に家に持ち帰り、家内中で食べて安全と五穀の豊饒を感謝するのである。
戸主は今年番帳さんの家でご馳走があり1日中楽しみ夕刻になると「番帳さん送り」といって、三味の音と共に次年度の番帳の家に行くのである。

出典:東与賀町史P1174