日月をしるした直径1メートル余りのテンツキとよばれる大きな紙張りの前立を額に付け、腰にゴザを下げた踊手が両手にバチをもって大太鼓を打つ浮立で、毎年10月15日(現在は10月第3土曜日)に氏神諏訪(すわ)神社に奉納される。
出演者は壮年男子による笛の役・謡・鉦打、青年女子によるパンパコ・銭大鼓、少女による扇子舞であり、太鼓を打つ踊手のテンツクミャーは口を白布で覆い、手甲・脚絆にわらじばきである。その他、祭礼には高張提灯・バレン・カサボコ・棒使いなどが加わり、総勢100名余りの数にのぼる。
曲目は道行・鳥居がかり・神の前・まくり等である。
神社の鳥居にかかると道行から鳥居がかりの曲に変わり、行列は境内を3周して円陣を作り、定位置につく。棒使い、鉦打ちによる奴踊の後に神の前となる。神の前・まくりの曲目でテンツクミャーがテンツクを振り回しながら囃子(はやし)に含せて舞い踊る。途中、謡が入るが、このテンツクミャーの踊方や太鼓の打ち方には厳格な所作があり、最も神聖な役とされる。
なお、同様な天衝舞浮立は玄蕃一流(げんばいちりゅう)浮立ともいわれ、佐賀市を中心に伝承されている。