吉村家住宅

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■所在地佐賀市富士町大字上無津呂 個人
■文化財指定状況国 重要文化財
■文化財指定日昭和49年2月5日
■登録ID5342

上無津呂は筑紫山地の中心部であり、佐賀県の代表的山村である。この山間部には棟(むね)が一直線をなす直家(すぐや)形式の民家が多数みられる。吉村家住宅はその代表的な家屋の一つで、西北隅の部屋の側(そば)桁(けた)継ぎ手部分に書かれた墨書銘には
大工 落合村 羽右衛門
とあり、この家屋が天明9年(1789)に建築されたものであることがわかる。これは本県下における年代の明らかな民家としては最古のものである。
建物は南面し、桁行(けたゆき)8間(約14.4メートル)、梁間(はりま)5間(約9メートル)、寄棟(よせむね)造り、内部は東に土間をとり、床上は5室に分かれる。
間取りは当初東側を土間ニワとし、これに沿って12畳の「ナカエ」をおき、この上手表側に4畳の「ナカザ」と8畳の「ザシキ」、裏側に細長い「ナンド」、ナカエの裏側に台所を配していた。この間取りは三間取広間型系の発展した形とみることができる。
なお、昭和57・58年度には、老朽化が激しいこともあって、半解体修理が実施された。
吉村家住宅は、佐賀県北部山地に多い直家形式の農家として、年代の明らかな民家として学術的価値が高い。