「鬼門と樹門」

  1. 旧佐賀市
  2. 嘉瀬校区
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「鬼門と樹門」

■所在地佐賀市嘉瀬町
■登録ID88

住んでる屋敷や家屋に、住んでる人を中心に、北東の隅を表鬼門、南西の隅を裏鬼門と名付けて特別扱いしていた時もあった。昔の家では、冬の北東の季節風は、寒さを家の中に吹き込み、北東にある部屋は、他の部屋よりも寒い。もし、便所でもあれば、お尻まで冷えきっていた。少しでも寒さ防ぎに屋敷の北東の隅に「樹」を植えた。夏の西日は、特に気温が上るので、壁で暑さをしのいだ。もし家の南西に便所でもあれば、ウジ虫は異状繁殖し処置に困る状態だったろう。少しの日陰でもと、「樹」を植えた。北東の隅と、南西の隅に植えた「樹」がいつしか「鬼」となっている。ローソクやランプの世代は去って、家の中は冷暖房に浄化槽の時代になった。エレベーター付きのビルやマンション住いの人は勿論、「鬼門」の言葉は、昔物語りになりかけ一部の人のものになって来た。

出典:嘉瀬津よもやま話(P.27)