「庶民のならわし」

  1. 旧佐賀市
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「庶民のならわし」

■所在地佐賀市嘉瀬町
■登録ID86

① 元旦の床飾:白木の三宝台に幅広のコンブを前面にたらし、白米を盛り上げ、その上に橙、とろろ、栗、木炭、もろもき、つるし柿、つんの葉などを、面白く配置して、森林を想起して、盆栽を床飾りとする。
② 鬼火たき:正月7日の早朝、青竹を手ごろに切り、ワラに包んで、門先で焚火し、荒神さん餅を焼く。嘉瀬津の市道では、車時代に入ると共に禁止された。
③ もぐら打ち: 正月14日、農作物の満作を祈る子どもの行事。
④ 雛祭り:3月3日、女の子の成長を祈って行う日で、お座敷には、お雛さんの段飾りをした。娘の子は、晴気の振袖、神社まいり、写真撮りなど可愛さ一杯の時である。
⑤ 遍路詣り:彼岸期間中に、数人、数十人の男女が混合体をなし、弘法大師を祭る堂、宇、遺跡などを尋ねめぐる。服装は、白衣を着し、背中には経文を書き、襟脇には、住所、氏名、年齢等を認めた。手甲、脚絆、ワラジで、さんや袋をかけ、数珠と鈴を持ち、すげ笠を冠り、金剛杖をつく。道中或は参詣時には、和讃を合唱する。嘉瀬津の参詣地は、蓮乗院。
⑥ 甘茶まつり:4月8日、釈尊誕生日を祝して、各寺院において、菜の花、蓮華草の花などで、小さな御殿をつくり、釈尊の像を祭り、甘茶の湯を灌水する。その灌水を各家庭に配分する。または各家庭から最寄りの寺に参詣し、この甘茶の灌水場を受ける行事。
⑦ 菖蒲の節句:5月5日、男児の成長を祝う日で、菖蒲を屋根に上げたり、風呂に入れ菖蒲風呂にしていた。特に長男の生れた家では、初節句として、親類、縁者を招いて御馳走して祝いをする。鯉の吹き流し、上り旗、風車などを、門前に樹てて祝う。
⑧ 夏の町内大会:班対抗ソフトボール大会。班でチームの出来ない所は、親戚、縁者の応援もあって喜々愛々だった。
⑨ 盆おどり:お志賀さんでやったり、保育園でやったが、櫓を組んで、照明つけて、カラオケ歌って、住民仲良しで、住みよいたのしい嘉瀬津になっていた。
⑩ 豆ぎおん:8月25日、嘉瀬津神社(志賀神社) で、女性の楽しみの日である。煮豆を貰って、踊りを舞って、子供も大人も、一つの輪になって、夜景も一段と美しい。
⑪ お供日:嘉瀬津の志賀神社に、お供日はない。元町の四面神社からは、4年に一同巡ってくる。元町、嘉瀬津、迎町、扇町だったが、扇町は自分の町区の神社を祭ると云うことで脱退。当番に当った町区では、思い思いの浮立の形で、今では、10月10日の体育の日に、お供日が行われている。お供日の日は、堀り干しで捕れた鮒を昆布巻きし、大根、蓮根も茶色がかる位、味がつき美味だった。家で作った甘酒、知人を招いて酌み交わす酒、次から次へと友人宅を訪ねており、どの家も、うたた声が道路まで響く、消え去ったお供日の風景。

出典:嘉瀬津よもやま話(P.16)