「変った嘉瀬川の堤防」

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「変った嘉瀬川の堤防」

■所在地佐賀市嘉瀬町
■登録ID85

江戸時代から昭和の末期まであった、嘉瀬川堤防の竹林は、濃い緑の帯をなしていた。
その竹林の中に、一本の小道があった。この小道を歩いて、ふる里を離れていたが、いま帰郷したと、心に、沁みたものだ。
秋も深まれば、竹林の帯の中に、はぜの木の一群があったが、真紅に染った色は、一段と色鮮かだった。ところどころにある椋の木は、黒い小粒の実を一杯つけて、子供たちを待っていた。口一杯ほほ張り、一粒ずつ実を空に吹き飛ばす、しぐさと感触は忘れられない。椋の木の上から望めた、稲小積の列や、屋敷の大根干しの列など、今は、無い景色。竹林も、はぜの木も、椋の木も姿を消した今の裸の堤防だが、河川敷の川幅は広くなり、バルーンの行事中は、にぎやかである。昔の嘉瀬川堤防の椋の木の友達が、お志賀さんの境内に一本あります。秋には、実のり一杯にし、皆さんを待っております。

出典:嘉瀬津よもやま話(P.12)