銚子塚

銚子塚

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■所在地佐賀市金立町大字金立 佐賀市
■文化財指定状況国 史跡
■文化財指定日昭和53年3月11日
■登録ID5350

脊振山系南麓から南へ1キロメートルほど下ったゆるやかな微高地上、標高15メートル付近に位置する前方後円墳である。前方部を西に向け、全長98メートル、後円部径58メートル、高さ8メートル、前方部幅32メートル、高さ4.6メートルである。墳形は前期古墳に特徴的な柄鏡(えかがみ)形で、後円部と前方部の比高差も大きい。前方部は戦中戦後の開墾と土取りで段状に削られ、斜面部は石垣となっているが、墳丘の遺存度は良好である。後円部が3段に、前方部が2段に築成され、後円部には花崗岩質の葺(ふき)石が多数認められる。周濠は幅11.5メートル~28メートルと広く、墳丘に沿って巡っており、中期古墳に多い楯形(たてがた)周濠に先行する形態である。内部主体は竪穴(たてあな)式石室と推定されるが、実態は明らかでない。現在、墳頂に忠魂碑が建てられているが、大きな盗掘の跡などは認められず、内部主体、副葬品等の遺存状況は良好であると思われる。
本墳を特徴づける出土遺物に土師器(はじき)の二重口縁壼6個体以上がある。これらは開墾中に偶然出土したもので、その出土位置は南側くびれ部の2段目テラス付近と推定される。いずれも丹(に)塗りが施され、胴下半部が長くのびて、底部には焼成前の穿孔(せんこう)が認められるなど
形態は壼形埴輪(はにわ)に極めて近い。
本墳はその墳形と出土遺物から4世紀末ころに築かれたものと推定され、古墳時代前期の佐賀平野における政治権力の存在を知ることができるとともに古墳文化の伝播(でんぱ)と成立を考える上で重要な意義をもっている。