木造普賢延命菩薩騎象像 康俊作 一躯

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木造普賢延命菩薩騎象像 康俊作 一躯

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■所在地佐賀市久保泉町大字上和泉 龍田寺
■文化財指定状況国 重要文化財
■文化財指定日昭和32年2月19日
■登録ID5335

龍田寺(りゅうでんじ)は、元亨(げんこう)年間(1321~24)に、一地上人(いっちしょうにん)の開山になると伝える真言律宗寺院で、この木造普賢延命菩薩騎象像を本尊とする。
普賢延命菩薩は、息災延命を祈る修法(すほう)の本尊とされ、6本の牙をもつ白象上に二臂(ひ)あるいは二十臂に表現されることが多い。
本像は、4頭の白象上の蓮華(れんげ)座に結跏趺坐(けっかふざ)する二十臂の普賢延命菩薩像で、上下二重の円光背(こうはい)を負う。像高は71.7センチメートル。桧材による寄木造(よせぎづくり)で、表面に漆箔(しっぱく)を施こす。体内に内刳(ぐ)りを施し、目に水晶をはめこんで玉眼とする。頭上には金箔をはった銅製の宝冠を戴き頸(くび)飾を懸ける。
髻(もとどり)を高く結い、頬(ほお)が豊かに肉付いた丸顔で、目を切長に半眼とし、口元を締める。肩はややなで肩で、胸は膨らみを表現するために波打つ窪みを刻み、腹の膨らみは緩やかな弓状を描く線を刻んで表現する。膝は張り、厚みとも上半身に比べて小さいが、これは本像が高い台座に乗るため、下からの観賞に備えるためでもあろう。衣制は、背子(はいし)(肩掛)・条帛(じょうはく)・裳(も)を着けるが、これは厚手のものではない。衣の襞(ひだ)は写実趣味に基づきながら、細部を省いた強い曲線で表現する。
これらの特徴は、鎌倉時代末期から南北朝時代の仏像に共通する。
台座蓮肉裏の造立銘により、鎌倉時代末期の正中3年(1326)に、南都興福寺の大仏師康俊(こうしゅん)の作であったことが知られる。康俊は鎌倉時代末から南北朝時代にかけて活躍した慶派の流れをくむ正統仏師である。