水上懸仏 一面

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水上懸仏 一面

  • 水上懸仏 一面

■所在地佐賀市城内一丁目 佐賀県立博物館(水上地区)
■文化財指定状況佐賀県 重要文化財
■文化財指定日昭和28年11月3日
■登録ID5299

佐賀市大和町川上水上にある彦山権現の小祠に奉納されていた懸仏で、径37.1センチメートルの鋳銅製である。懸仏は神仏習合(しんぶつしゅうごう)の信仰から生まれた御正体(みしょうたい)がさらに新しい形式を生んだものである。この懸仏は、周縁は帯状の銅板で縁取りして鋲止(びょうど)めを施し、上方2カ所に獅子咬(ししがみ)のついた吊手が取りつけられている。御正体は薬師如来で、左右に2個の花瓶を取りつけていたが1個は失われている。また薬師如来の上方には天蓋があったと思われる鋲止めの跡がある。
薬師如来は鋳銅製で半肉彫(はんにくぼり)の背面に2個の作り出しがあって、鏡板(きょうばん)にとりつけられている。台座から肉髻頂(にっけいちょう)までの総高20.6センチメートルの坐像で台座には蓮弁の毛彫りが施されている。薬師如来は結跏趺坐(けっかふざ)し、薬壺(やっこ)を左手に、右手は施無畏(せむい)の印を結んでいる。条帛(じょうはく)・衲衣(のうえ)・裙(くん)等は鋳出しの部分のみでなく、毛彫が一部に施されている。
この懸仏は、鎌倉時代中期・文永8年(1271)に奉納されたもので県内では最も古い。当時の工芸品として、また当時の信仰生活を知る上から貴重な遺品である。
鏡背に次の墨書銘がある。
奉懸
御鏡一面
右意趣者為除平氏女三十三厄
并千代松御前御息災延命
増長福寿心中所願成就状如件敬白
文永八年七月十五日