蒸気船雛形(外輪船)一隻

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蒸気船雛形(外輪船)一隻

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■所在地佐賀市松原二丁目 鍋島報效会
■文化財指定状況佐賀県 重要文化財
■文化財指定日平成17年3月30日
■登録ID5278

佐賀藩精煉方で製作されたとされる蒸気船の雛形で、外輪・スクリュー2隻のうちの外輪船である。長さ88.0センチ、高さ52.5センチ、幅18.6センチで、蒸気機関や動力伝達装置などは銅、真鍮などの金属で作られているが、船本体は木製である。
近年の詳しい調査で、内部の構造や材料等について明らかになってきた。それによると汽罐内に煙管が施されており、蒸気車雛形と比べて熱効率が向上し、より大きい力が発揮できたと思われる。燃料は蒸気車雛形同様、アルコールであり、汽罐内で発生した蒸気はシリンダーに送られて動力機構と伝えられ外輪を回転させる。蒸気機関と推進駆動軸との接続はピストン・ロッドとコネクティング・ロッドによる簡便なものであり、スクリュー船ではより複雑な構造になっている。このように外輪船は蒸気車より進歩しているがスクリュー船よりも単純な構造であり、動カ・推進機構部などを含めた内部構造の比較から、蒸気車一外輸船一スクリュー船の順で技術進歩の段階を経ていることが推定される。
国産初の蒸気船の建造につながる佐賀藩の科学技術の水準の高さを示す重要な資料である。
(写真:鍋島報效会提供)