絹本著色福満寺古図 一幅

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絹本著色福満寺古図 一幅

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■所在地佐賀市北川副町大字江上 福満寺
■文化財指定状況佐賀県 重要文化財
■文化財指定日昭和51年2月25日
■登録ID5260

佐賀市南東の平野部に、延暦(えんりゃく)23年(804)に入唐(にっとう)に際して最澄(さいちょう)が開山したと伝える真言宗御室(おむろ)派護国長尾山福満密寺がある。
本図は、足利直冬(ただふゆ)(尊氏長子)が貞和(じょうわ)年間(1345~1350)に再興して以降の伽藍(がらん)(寺院の建造物)を描いたものと伝える。
中央に七堂伽藍を描き、堀割を隔てて北に寺家・西福寺・種福寺、南に坊、東西に坊官町を配する。敷地面積は8町余と記される。
この伽藍には、桧皮葺(ひわだぶき)とはいえ、天台宗に特徴的な法華三味(ほっけさんまい)堂・護摩(ごま)堂・止観(しかん)堂を備え、僧侶の受戒(じゅかい)の場である戒壇(かいだん)院をもつ。個々の建物は、おおむね本瓦葺か桧皮葺の入母屋造(いりもやづく)りで、縁を備える。坊や坊官町・百姓町の建物は、藁(わら)葺の切妻(きりづま)造りである。
本図は、上下に2枚の紙を継いで縦130センチメートル、横47.6センチメートルとし、墨で輪郭を描起し、淡墨や丹(に)、緑青(ろくしょう)を平塗りする。
建物は、それぞれ異なった角度から描かれ、回廊は金堂四周の建造物に重ねて描かれる。講堂は、全体をほぼ正面からとらえながらも両翼に側面を描き、屋根には妻飾(つまかざり)を正面向きに表現する。描線は、堀割以外を手書きとするが、細い線は波打ち、太い線は肥痩(ひそう)をもってうねる。平瓦の継目や松枝は筆を打ち込んでそのまま撥ねる。
以上のような一定しない視点や筆の運びの硬さと奔放(ほんぽう)さ、松葉の平面的なとらえ方などから、室町時代末期から桃山時代にかけての作と考えられる。