石造十一面観世音菩薩立像 一躯

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石造十一面観世音菩薩立像 一躯

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■所在地佐賀市久保泉町大字川久保 個人
■文化財指定状況佐賀市 重要文化財
■文化財指定日昭和49年2月11日
■登録ID5174

勝宿(かしゅく)神社と小川をへだてた山腹の小堂に石造十一面観世音菩薩立像が安置されていて、后良(きさきら)観音と呼ばれ、今日でも地域の人々の厚い信仰を集めている。
像高118センチメートルの石造で、宝冠に化仏を頂く十一面観世音菩薩の立像である。右手は掌を前にして垂下し、左手は屈して胸前で蓮華を執るが、両手・両足ともに体部に密着した浮彫りで、窮屈な表現となっている。顔面は大きくて下半身が寸詰まりとなり、しかも下半身の表現は簡略化されている。衣文彫りは浅く、正面観のみの表現であって、側面及び背面は素材のままの荒削りとなり、中世石像彫刻の様式をよくとどめている。体側両面に、次のような造立銘が陰刻されている。
左体側「河窪村中泉〇〇天正十三暦三月廿如意林日」
右体側「奉彫刻妙観音尊像一基〇〇〇」
この造立銘によって、天正13年(1585)に彫造された中世末期の石像であることが知られる。
柱上の石材を用いて彫顕した一種の板彫り像であって、県内の石像彫刻が、線彫→浮彫→半肉彫→板彫、丸彫→肉彫と進化していく石像彫刻の進化過程を知る上から、県内では数少ない遺例の一つであり、板彫系統の初現的な石像の一例として注目すべき価値を有している。