肥前ビードロ
肥前ビードロ
■所在地佐賀市道祖元町106
■登録ID413
専修寺から与賀神社の方へ200mほど行った左側に、副島硝子工業がある。間口の広い店で、美しいガラスのコップや水さし、花ビン等、たくさん陳列され、佐賀県でただ一カ所、肥前ビードロを生産している所である。700坪の工場が裏にあり、貴重な文化遺産である手づくりの吹きガラスを作っている。
鉄製の細い吹き竿の先に熔けたガラスをつけ、息を吹き込んでふくらましながら形を整えて行く、宙吹きの技法は日本独特のものである。ガラスの製法は、長崎から大坂、そして江戸へと伝わった。幕末には各藩でガラスが製造されたが、嘉永年間、鹿児島藩が皮切りで、ついで安政年間に山口藩と福岡藩、ついで佐賀藩もこれにならった。佐賀藩主の鍋島直正は、嘉永5年(1852)に西洋技術を取得する為に、上多布施に精煉方を置き、洋書翻訳、科学実験などを行なったが、ガラス製造もその一環となるもので、化学薬品の容器を作るのが目的であった。
万延元年(1860)に藩士佐野常民の管理のもとに創設された。ランプや食器には切子(きりこ)もあり、明治維新後も鍋島家では同工場を引継ぎ経営した。
ひところは県内で70軒もあったが、現在では精煉方より独立した副島硝子工業1軒となってしまっている。
江戸末期の伝統を守り、佐賀県はもちろん、長崎の土産品(長崎ビードロ)としても作られている。
出典:日新読本(P.232)