原初枝

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原初枝

■所在地佐賀市富士町
■登録ID2838

 歌人
 原初枝(本名松江)は、明治27年7月22日旧南山村古湯に生まれ、女学生時代より短歌の道にいそしみ、その天才的な歌は当時、日本少女の友社の認むるところとなり、月々紙面を飾ったという。明治43年京城の女学生4年のとき天才にはつきものの胸(肺)を病むところとなり、学業半ばにして臥床する身となり、唐津で転地療養していたが、ここで明治44年12月13日、看病中の母親原勇子女史が逝去し、病床の初枝の悲しみはその極に達し、病床より這い出して冷たくなった母親にとりすがり、嘆き悲しんだという。
その時の詠草に、
「雪降れり炬燵に入りて今いちどおとぎ話をのう母上よ」と詠んでいる。
その後、初枝の病も篤くなり、明治45年3月19日遂にこの世を去ったのである。享年19歳。
この悲報を知った、東京の少女の友社より駆けつけてこの天才少女歌人を惜しんだという。翌月の誌上には追悼の記事が載せられ、続いて原初枝歌集が単行本として本社から発刊されている。その後七回忌に少女の友社より墓標の写真を撮り、原初枝七回忌号として誌上を飾っている。
この短歌に感動した貝野の山中濶氏は、富士小学校の児童の情操教育の一助にと考え、校庭に歌碑を建設。建設工事全額を負担した。昭和61年8月23日、盛大に原初枝歌碑除幕式が挙行された。

出典:富士町史下p.240〜p.241