雄渕・雌渕公園
雄渕・雌渕公園
■所在地佐賀市富士町大字上熊川・小副川
■登録ID2775
雄渕・雌渕公園は、熊の川温泉と古湯温泉の中間地点に在り、明治の晩年までは、北山の木材流しや筏流しで最大の難所と恐れられていた。
たまたま大きな木材が右岸雄渕の洞窟に突込めば、再び浮上しない程深渕と言われている。水面下の洞窟には、誰も入った者はなく、様々の伝説や逸話を残し、今なお神秘のベールに包まれたままである。
川上川の鮎もこれより上流へは上ることができないので、その下流の集落を「鮎の瀬」と呼んでいる。
明治32年(1898)、長崎県波佐見金山会社の鮎の瀬発電所(現雄渕トンネル南架橋下)が建設され、「水から火が出る、世にも珍しい。」と見学者が詰めかけ、発電所と共にこの地の名声が更に広まった。
また、中国の医師で文学者郭沫若も、熊の川温泉滞在中に、この地を訪れたので、これ記念し昭和57年10月、この地に建立した「郭沫若先生記念碑」は、淡々と音立てて落ちる雄渕の滝、悠々と流れる雌渕を静かに見守っているかのようである。因みに碑文は、中日友好協会初代会長の廖承志先生の手によって書かれている。記念碑北方約100mの地点に架けた鳴瀬橋は、昭和59年(1984年)完成した斜張橋で、真紅に燃えるような色彩は緑の自然の中で一際目立ち、蒼い深渕と調和美を誇っている。
なお、国道323号線雄渕トンネル下方約100mの地点に、弘法大師ゆかりの地、「御手洗の滝」がある。
出典:富士町史下p.234〜p.235