舟木邸と珍の山唐津

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■所在地佐賀市赤松町
■年代無し
■登録ID2476

 舟木邸は、佐賀市柳町の旧古賀銀行の設計者である、故舟木右馬之助氏の自邸で、本人の設計施工である。
 なお、舟木邸から出土した珍の山唐津について「古唐津」の解説では、朝鮮唐津の首なし徳利をそのまま、または他の首と接合して2度焼きしたものである。慶長年間、佐賀市珍の山で焼造したものと誤信するものがあるので、次の事項を掲げて説明したい。
1)珍の山陶の出土した位置は佐賀市の中心に位置する西の堀端の舟木右馬介氏の邸内であって、ここは旧佐嘉栄城をめぐる西の堀に直面し、本丸よりわずかに150mほどの近距離にあたる。慶長の頃、本丸のまじかで民需の陶窯を築くいわれはあるまい。
2)珍陶の出土した舟木邸には、焦土、窯道具類を発見しない。
3)舟木老夫人(昭和38年頃)によれば、舟木家は代々鍋島家のお納戸役を勤めた家で、先祖に古玩癖の強い人があって珍器を数多く蒐集したと伝え聞く。明治25年頃、屋敷内より偶然出土した珍陶を町の骨董商が予想以上の高値に買い取った記憶がある。その後、古物商の懇望によって明治40年頃と昭和5年頃の2回にわたって土中の珍陶はほとんど掘り出された。今数点を記念として家に残してあるが、小さい残欠はまだ床下や土中に埋っていると。
4)現在舟木邸に残されている出土陶を見ると朝鮮唐津ばかりでなく天目茶碗、絵唐津の碗鉢片口など。 
あるいは無地唐津の香炉、酒盃など様々。

出典:管理者舟木氏からの聞き取り、水町和三郎、鍋島直紹共著「古唐津」白鳳社 昭和38年刊

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