大般若経と納経箱

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大般若経と納経箱

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■所在地佐賀市北川副町大字江上345
■登録ID2370

福満寺には、現在大般若経600巻が保管され、欠筆、欠巻の部分は、補巻されている。
福満密寺の年譜によると、貞和6年(1350)庚寅、冬十月将軍尊氏公有先年心願在、奉納大般若経一部其文曰 尊氏前有姿心願 所願既得満足故 以大般若経一部奉納薬師之金堂者也仍如件とある。
従って、現存する大般若のどの部分が、この年譜記の薬師金堂に当るか、後に再納したものか明らかでない。ただ第1巻は、当初のままと推定されるようでもある。最後の600巻になると「欠筆のため補」としたためてあり、元和2年(1616)丙辰春、河上山菩提見住、増元の奥附書がある。
大般若経当初は、尊氏の発願の意を体し、写経料を下附されて写経したものであろう。
現在、大般若経600巻は、古めかしい箱に納められているが、その箱の蓋裏には、かろうじて判読できる、経箱を整備した当時の記録があることは、この600巻の由緒を裏書するものである。
肥前国佐賀郡河副庄江上村長尾山福満寺
当住持 法師朝意此経求所也
奉寄進大般若経箱 意趣者為六願体
武運長久父子孫繁昌 息災延命 諸願円満処
慶長十五年庚戊卯月吉祥日
犬塚惣衛尉氏女
とある。頭書に、当山の住持法師朝意が、この経を求るところ……とあるのは、当初一部が納経されていたものを補ったことを意味するものであろう。補巻が、元和2年(1616)であるので、この経箱が寄進された後に欠巻しているのを、慶長15年(1610)に発見して、写経したものである。

出典:わが郷土北川副町の歴史p119

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