彦山まいり

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彦山まいり

■所在地佐賀市大和町
■登録ID2272

 豊前(福岡県)の英彦山に長途の参詣をするのを「彦山まいり」といった。これは3、4月ごろの農閑期に行われ、汽車を利用する者は往路田代駅で下車し、付近の景勝地または他の神社仏閣にも回礼して彦山に詣で、帰途は遠回りして汽車で帰るのが普通であった。彦山での宿泊は主として帰依の坊跡を尋ねるのを例とした。下山の際は彦山名物の飯杓子、ぞうり、土製の鈴等を買って帰り仲間に配った。この参詣のための経費作りには、権現講というものを組織し、毎年抽せんをして順次4、5名が参詣した。帰宅すれば権現講を開き、明年の参詣者の抽せんをした。彦山まいりに主人を送り出した留守家族の者はひたすら謹慎し、けがあやまちなく無事帰宅するよう仏壇に灯明をあげて祈った。土産にもらった鈴は玄関の入口の上に飾り一家の安全を祈り魔よけにした。

出典:大和町史P.648