月待供養塔

月待供養塔

■所在地佐賀市大和町井手
■登録ID2208

 如意輪観音を主尊とした十九夜待、二十二夜待、二十三夜待二十六夜待が行われている。北原三社権現社には慶応元年(1865)の造建になる二十三夜待供養がある。井手天満宮には安政5年(1858)造建になる月天子の塔が建っている。月天子又は名月天子ともいい、月宮殿の中に住んでいて月の世界を治める神として信仰されたものである。いずれも月待供養で信者が集まって講を仕立て、男女それぞれ日をきめて集まり飲食談合し、時にはお経をあげて月の出を待つものである。日の取り方も地方によって違い、昔は十九夜待、二十二夜待講は多く性談をして安産を祈るので産泰講ともいわれ、所によっては片膝を立てた如意輪観音の姿が無痛分娩の姿勢であると信じられていた。月待供養は町内で今なお続けられている所もあり、男は年令に応じて幾組かの三夜待講を作り、女はお六夜さんと称して組ができ、今は本来の信仰は失われて毎月各戸回しで場所をきめ、飲食談笑を楽しむという一種のレクリエーションといってよい。

出典:大和町史P.575〜576