副島種臣御庫番のこと

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副島種臣御庫番のこと

■所在地佐賀市西与賀町
■登録ID220

二郎が副島家へ入ってから無職で閉居し、読書三昧に耽るのみで、しかも家は左程財政も豊かでなかったから、親戚の一人が大いに心配して、ついに二郎を鍋島家のある御庫番に就職するようにした。
あたかもその当時、副島家に法事があって、親類会合する機会があったので、その席で吾左エ門と二郎に御庫番に定めてきた一件を誇り顔に報告した。二郎は柱にもたれたまま、全く耳にせずに何等の返事もしなかった。
よって、その人は、自分の好意を無視するものと大いに憤慨したので義父は、閉口の態であった。ここに親類の他の一人が先程から二郎の様子を窺うに、とても御庫番には見向きもしまじと思われる。
これは「大馬鹿か大傑物か二つに一つ、まあ怒るものではない。」と慰めて御庫番は、ものにならなかった。大賢愚に似たりとか、大馬鹿ではあるまいかと疑われた二郎が後年大傑物として天下に名をあげたのである。

出典:ワークショップ