埋蔵文化財

埋蔵文化財

■所在地佐賀市諸富町
■登録ID1538

諸富町では、昭和57年度から、圃場整備事業が実施されているが、教育委員会ではこれらの事業に伴い破壊されると予想される地下の埋蔵文化財の保護を目的として、昭和57年11月に佐賀県文化課の協力を得て、計画地区内全域にわたって、確認調査を実施した。
その結果、徳富・上大津地区において、徳富権現堂遺跡・上大津遺跡など、弥生時代後期(約1,800年前)から室町時代(約500年前)にかけての遺跡が発見された。
教育委員会は、その結果にもとづき、圃場整備事業に先行して、昭和58年度も7月から、前記二地区の発掘調査を実施した。
徳富権現堂遺跡は、味の素工場の北側に広がる水田に位置し、昭和57年の一部発掘では、弥生時代後期から室町時代にかけての集落の跡が発見され、佐賀平野最南端の遺跡として注目をあつめている。なお、当時使用されたと思われる土器の破片やほぼ完全な形の古墳時代の土師器も出土している。
昭和58年は、遺跡の北西末端部を調査して、弥生時代の集落の規模や当時の生活様式・産業・文化などの解明のため調査を実施した。
上大津遺跡は、現在の上大津地区の集落を中心に広がる弥生時代後期から室町時代にかけての集落遺跡で、調査では、井戸跡や住居跡・溝・土塁などが確認されている。
特にこの地区には、上大津城跡と言われる、中世から近世にかけての館跡が確認されていることから、その位置や規模を確認する目的での発掘調査が進められている。
年を追うに従い、圃場整備事業の進捗に伴い、町内各地区で、色々な埋蔵文化財が発掘されることであろう。
これら埋蔵文化財の発掘調査は、有明海に近い地区で、私たちの先人の生活を解明するために、学術的にも重要なことである。

出典:諸富町史P.995