矢櫃の森と香椎宮

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矢櫃の森と香椎宮

■所在地佐賀市久保田町
■登録ID1515

 高倉天皇の安元元年(1175)、窪田の地頭因幡守藤原利常は諫言により、筑前国香椎に蟄居させられた。利常は深く香椎宮を尊信し、1日も早く其の冤罪が解けることを祈り、その願いが成就したときは、窪田郷に香椎宮を勧請し永く祭祀することを誓った。
 その願いがかない、ほどなくして罪を赦されて窪田に帰ったある夜、筑前国香椎宮より白鳥が飛んできて、庭に降り立った夢を見た。不思議に思った利常は、翌朝起きて庭先を見ると1本の白羽の矢が突きささっていた。これはまさしく香椎の大神のお告げと、矢を石櫃に納めて、西南にある森の地中に深く埋め、使いを筑前香椎宮に遣わし、分霊を請けてきて、この地に香椎宮を建立した。その後、香椎の宮はたびたび火災により焼失したので、現在の地に改めて遷座し、産土神として信仰されるようになった。矢を納めた櫃を埋めた森は矢櫃の森と呼ばれるようになった。

出典:久保田町史 p.635