延犂(はえすき)

  1. 産業
  2. 道具
  3. 検索結果
  4. 延犂(はえすき)

延犂(はえすき)

■所在地佐賀市久保田町
■登録ID1439

(延)はえるとは、横に長く寝そべった様をいうが、この「はえ犂」はまさにそれを絵に画いたような犂である。稲刈りが終って裏作麦の畝つくりのために、まだ湿った泥土状の水田にこの犂を入れる。犂床は60cmほどと長い。このため沈まず安定する。先端の犂先は鋭角で土を切り裂いてそのまま左に返す。古老の話によると「羊羹を薄く切り裂くゴタ要領」という。切り幅は何せ重粘土壌なので、幅は10cm以内でせまくする。大きく切ると反転不能となるからである。乾燥した土塊を反転するのではなく、まだ水分をふくんだ重粘土を刃物で切り裂く。このために注意ぶかく犂いていく。慎重な犂つかいが必要である。
 往復して反転してできた畝に、残りの土塊を積みその上に藁や堆肥をかぶせ、麦をまくのである。この作業も「はえ犂」があってはじめてできる初秋の重要な作業である。

出典:久保田町史 p.361〜362