乙宮神社

乙宮神社

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■所在地佐賀市三瀬村宮ノ口
■年代中世
■登録ID1323

社号 乙宮権現
祭神 大雀命・菟道椎郎子
 室町時代の嘉吉2年(1442)に阿波国の住人杠日向守が、淡路国の弓絃葉権現を奉供してこの地に来着し、一門の氏神として乙宮権現を祀ったのがこの神社の起源である。杠氏はこの地一帯の領主となり、地名を杠と改めるとともに、野波神社にも祭田五町歩を寄進して祭祀を盛んにした。
 祭神の大雀命と菟道稚郎子は御兄弟で応神天皇の御子である。大雀命は後の仁徳天皇。菟道稚郎子は阿直岐・王仁に典籍(書籍)を学んだ。天皇に深く愛されて皇太子となったが、天皇の死後、兄大雀命と皇位を譲り合い、空位3年にも及んだため、自ら生命を断って皇位を兄に譲った。
杠日向守はどのような考えでこの2皇子を祭神としたのかわかるすべはないが、奉供して来た「ゆずりは」権現といい、神に祭った2皇子の皇位の「ゆずりあい」といい、何れも日向守の姓「ゆずりは」と同音または近い音詞であることに注目したい。そして、兄弟仲よく、兄は親の命に従い、弟は兄を尊敬する、ということは、戦国乱世に生きた日向守にとっては、一家一族和合の美徳と感じられたにちがいない。日向守はこのご兄弟皇子を一族一門の鑑とするため氏神として祀ったののであろう。

出典:三瀬村史p721

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