浮立

浮立

■所在地佐賀市東与賀町
■登録ID1098

東与賀町には、かつて天衝舞浮立(玄蕃一流浮立)がいくつかの集落で行われていた。
既に廃絶して久しく、その全容を知る古老も少なく忘れられようとしており、ここに記録したものも断片的なものにすぎない。
昭和55年秋に、中飯盛においてふるさと運動のひとつとして復活がはかられた。継承者や道具、費用などの諸問題により困難を極めているが、記憶をたどっての踊りの練習も進み、着実な歩みを見せ始めた。
【由来】いつの頃より、またどこから伝えられたか明らかでないが、佐賀市掘江神社を起源とするといわれる天衝舞浮立(玄蕃一流浮立)で、歌詞などから、近隣の川副町や諸富町の系統をひく娯楽性の濃い浮立である。
各集落に現存する鉦の銘から明治初期に隆盛を極めたとおもわれる。
【伝承地域】中飯盛・搦・新村・作出などで行われていた。供日などの年中行事や村の慶事で、御大典・出征兵士の武運長久と帰還成就・佐賀線の開通・佐嘉神社の落成・下飯盛八幡神社の落成・祐正寺の落慶・実久龍水院の落慶とあらゆる機会に催されていたが、昭和12年に現在の東与賀小学校講堂の落成式を最後として途絶えたという。
【内容】組織、役名、衣装、演目、芸態等についてその詳細は、いずれも明らかでない。
先に記したように断片的な記憶をつなぎあわせたに過ぎないので、内容については不十分であることをお断りしておく(中飯盛での聞取りを主として記す)。
・役名と衣装
天衝舞 1名 青壮年 浮立の主役で、天衝(てんつき)と呼ばれる半月形の冠物を被り後腰にゴザを垂らす。
鉦 十数名 青年 鍬形のカブトに白紙でつくったシャグマをつける。鉦は径30cm程で、全員があわせていっせいに打つ。
もりゃーし 十数名 女子(高等小学ぐらい) 花笠を被り、もりゃーし(締太鼓)を胸前に水平に吊るす。
笛 数名 壮年 陣笠に着物。笛は7孔で竹製。
・囃子
道行きで囃す「道囃子(みちばやし)」、神の前での「本囃子」がある。笛の伝承者は既にない。

出典:東与賀町史P1080