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久保田町 道具
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延犂(はえすき)
(延)はえるとは、横に長く寝そべった様をいうが、この「はえ犂」はまさにそれを絵に画いたような犂である。稲刈りが終って裏作麦の畝つくりのために、まだ湿った泥土状の水田にこの犂を入れる。犂床は60cmほどと長い。このため沈まず安定する。先端の犂先は鋭角で土を切り裂いてそのまま左に返す。古老の話によると「羊羹を薄く切り裂くゴタ要領」という。切り幅は何せ重粘土壌なので、幅は10cm以内でせまくする。大きく切ると反転不能となるからである。乾燥した土塊を反転するのではなく、まだ水分をふくんだ重粘土を刃物で切り裂く。このために注意ぶかく犂いていく。慎重な犂つかいが必要である。 往復して反転してできた畝に、残りの土塊を積みその上に藁や堆肥をかぶせ、麦をまくのである。この作業も「はえ犂」があってはじめてできる初秋の重要な作業である。
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塊返し犂(くれがえしすき)
この犂は裏作の終った畝をとり崩し、やがてくる田植のための準備にかかる。畝を立てる「延犂」とちがって、畝を崩すのだから、何も懇切丁寧な周到さは要らない。それに秋の収穫が終った時期で土壌も乾燥しているから、大きく犂き崩していけば良い。そのため「はえ犂」のような犂としての細い周到な細工は要らない。とも角麦畦を大きく犂き崩して、平らな田を目指せば良い。