築山古墳出土盾持人埴輪

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築山古墳出土盾持人埴輪

  • 築山古墳出土盾持人埴輪

■所在地佐賀市本庄町大字本庄1121番地(佐賀市文化財資料館)
■文化財指定状況佐賀市 重要文化財
■文化財指定日令和6年2月6日
■年代古代
■登録ID5447

 円筒型の人物像の前面に盾を貼り付けているのが特徴で、腕は欠損しているため不明。人物の顔には入れ墨と思われる線刻が施されている。これは「魏志倭人伝」に記されている倭人の習俗「黥面文身(げいめんぶんしん)」を表現していると考えられる。また、顔と盾の一部に赤色顔料が残っており、祭事用化粧の可能性もある。頭部は、右頭部が良好な形で残存しており、頭頂部に巾9.0cmの鉢巻状のものを巻いている。正面中央部に切り込みが見られ、冠状の帽子を表現していると思われる。体の正面に持った盾には三角形や縦横に線をひいて装飾が加えられている。正面に頂上部と、左手側面が完全な形で残っているため、幅約28cmの盾と推定される。
 佐賀県内で人物埴輪の出土例として、小隈山古墳(6世紀中頃 佐賀市)、岡寺古墳(6世紀前半頃 鳥栖市)、上のびゅう塚古墳(都紀女加王墓)(5世紀頃 上峰町)などがある。岡寺古墳では盾の一部が出土しているが、盾持人埴輪は出土しておらず、築山古墳が初例である。
 九州では、仙道古墳(6世紀後半 福岡県筑前町)、百足塚古墳(6世紀前半 宮崎県新富町)などがあるが、いずれも円筒埴輪の両脇に帯状のものを付けた簡略化されたもので、築山古墳のように体前面に盾をつけたよりリアルな表現をとっている形態は全国的にも少ない。さらに、赤色顔料が塗られていることや入れ墨の表現など、形象埴輪の形態のほか、当時の習俗や葬送儀礼を考えるうえで大変貴重な資料である。