馬鹿聟(愚人譚)
馬鹿聟(愚人譚)
■所在地佐賀市川副町
■登録ID2091
むかし。
あるところに、馬鹿聟さんとその嫁さんが住んでおったと。
ある日、聟さんは嫁の里へ行った。すると、嫁の母は聟さんに団子を食べさせてくれた。聟さんは、団子がたいへんうまかったので、嫁に作ってもらおうと思って、
「団子、団子」と言って、家へ帰っていると踏張戸があった。聟さんは、それを踏み越える時に、
「ドッコイショ」と言った。
聟さんは、すっかり団子のことは忘れて、「ドッコイショ、ドッコイショ」と言って、家まで帰った。そして、聟さんは嫁に、
「ドッコイショばして食わせろ」と言った。嫁は、何のことだかさっぱりわからなかった。
嫁は、
「『ドッコイショ』ち何かんたぁ」と言った。すると聟さんは、
「ドッコイショはドッコイショくさっ」と言って、嫁を殴った。嫁は、
「あんたの叩ゃあたけんが、団子ンごたっコブンでけた」と言った。聟さんは思い出したので、
「その団子、団子」と、言ったということさ。
(鹿江 鹿村キミ)
出典:川副町誌P.909