涅槃図とは釈迦の臨終の情景を描いたもので、陰暦2月15日に釈迦の入滅を追悼して行う涅槃会にこの涅槃図を掲げて法会する。涅槃とは仏陀の教えによって到達する究極の理想の境地で解脱ともいう。
この涅槃図の図様は中央に横臥する釈迦を囲んで、多くの人びとが嘆き悲しみ、また鳥獣までもが悲しみの姿態をとっている。その中に釈迦の入滅を聞いて、母の摩耶夫人が天界から降下してきた姿が描かれている。
本図は紙本着彩で、縦202センチメートル、横136センチメートルの掛幅装で、画工は平渕子璨璨、裏面に「明治七年二月吉日 河副徳富村東光寺 当時住職 自照代」と記入されている。