袋地名考

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袋地名考

■所在地佐賀市本庄町
■登録ID709

大字袋は、水ヶ江町慶雲院より流れる水を四囲に井堰を築き袋の如く溜めて、灌漑用水となしたので、その様をみて「袋」といった説と、袋区がもと川副上郷の内八田江が蛇行して袋状をなしていた地形から付けられたとも言う。
袋村は、もともと川副上郷の内であったが、明治22年に本庄村に編入された。
袋に曹洞宗の古刹寒若寺がある。「酒袋山」を山号としている。寺の隣り合わせに、袋天満宮が遷座している。この宮の由緒によると「酒袋」を氏とした、惣兵衛、晋太郎、新七郎が宮住まいで居たことが記してある。酒袋山、酒袋氏いずれも「袋」の文字があり、地名に関することが感じられる。
また、寒若寺に地名起源の物証となる史料が所蔵されている。次に掲げる。
○開基の位牌
當寺開基 前遠州太守詣阿大禅定門 尊霊
應長元 辛亥 年(1311) 五月三日
北条遠江守 平朝臣 時政公現住 徳雲叟營建立
○鰐口(刻銘の一部)
慶長十九年 甲○(1614) 十一月吉日
肥前 佐賀 河副 酒袋村 薬師御寶殿
○半鐘(刻銘の一部)
九州肥前國 佐賀郡河副庄 上江袋村
酒袋山 寒若寺奉掛
享保十九 甲寅 歳(1734) 十二月吉日
[註]享保十九年に「酒袋山 寒若」と後刻。また、「寛文三 癸卯(1663)」を「享保十九 甲寅」と後刻。
半鐘は肥前の鋳物師・植木の鋳造。現在は小城市牛津町の寺院に保存されている。(『肥前の鋳工』中村 勲から)
以上の史料から、「酒袋山」、「酒袋村」、「上江袋村」など刻名が確認され、これから後世になって「袋」だけをとって地名に用いられたことが考察できる。

出典:かたりべの里本荘東分P.107本荘の歴史P.133