杉山浮立
杉山浮立
■所在地佐賀市富士町杉山
■登録ID2815
龍造寺隆信が九州の霊山彦山権現を攻めたので、その報いで肥前の国は五穀の凶作が続いていた。それを苦慮した杉山の玉秀院の住職が、ムラの中を流れる延命川で、身を清め21日間祈願をした。そして彦山に毎年5名の代表者を送り、旧暦10月15日に彦山の見える高台で浮立を舞えとのお告げをうけて始まったとされている。
別名「七囃子浮立」ともいう。それは、笛、鉦、太鼓、モリャーシ、扇子舞、ささら、銭太鼓の7種類で囃されることから名付けられた。
現在は10月第3土曜日に行われるが、もとは10月15日であった。
(1) 組織
山口、中の谷、下の谷、平の四古賀が交代でテースマエを勤める。
(2) 次第
宿の縁側はあけはなたれ、神酒と肴(チクワ、イモンコ、ジャガイモ等)が並べられ、浮立参加者に神酒が振る舞われる。全員揃うと、次の通り行列をつくる。
旗(杉山浮立)-提灯-棒使い-笛-待唄-大太鼓-鉦打ち-モリャーシ-扇子踊りである。
道行きの囃子で出発し白石神社に向かう。しばらく進むと囃子はやみ、神社近くで再び奏し、鳥居近くで鳥居がかりとなる。鳥居の左側から神水にひたした笹竹がかざされる。境内にはいると時計まわりに一巡してそれぞれの定位置につく。
まず、棒使いの奉納がされ、終わって浮立の奉納となる。
奉納浮立は神の前とマクイで構成されている。神の前での天衝舞人の足使いや拝礼に特徴がある。神の前の拝礼は、懐紙を前に置き、その上に太鼓のバチを交差させて置き深々と拝礼を3回行う。
マクイはテンツキを地面すれすれに触れるように振り回すなど勇壮な所作があり、待唄(小謡)が歌われる。
以上で一通りの奉納が終わり、拝殿でお神酒が振る舞われる。
ついで、山の神への奉納が白石神社境内で行われる。
棒術は2番で、浮立も同じように行われる。
ついで、八坂神社での奉納となる。
神社での奉納がすべて終われば、農業倉庫前で行われる。テンツキは被らないが他の内容はすべて同じである。
宿で最後の打ち止めの浮立が2回行われる。
以上ですべて終わりであるが祭りに合わせて帰ってきた人たちが飛び入りで鉦や太鼓を打つ。
(3) 棒術
境内にはいると浮立にさきだち、まず、棒が奉納される。無双真の流で寛文10年(1670)ころ、多久邑より伝授され、浮立行事のなかで行われるようになった。棒術の基本は、まず一人が先にでてきて、拝殿の前まで進み拝礼をして向かい合い型にはいる。通常は4番くらいをする。式台式、式台起こし、初龍、なしくづし、さしや、かさのした、腰車、すねうち、ふしうち、太刀、柴引きなど。
初龍となしくづしは基本といわれている。
出典:富士町史p.582〜p.585