河そうの話

河そうの話

■所在地佐賀市鍋島町
■登録ID2712

 あたいどんがこまか時分に、河そうから取られて死んじゃったいね。おどま見ぎゃ行たことがあっじゃん。八戸村まで見ぎゃ行たよ。
 八戸村ちゅうところは太か百姓ばっかいじゃん。そけぇ20ばっかいなっ姉やんがいたて。みんな昼あがいしてから姉やんが1人してあせらんば。男どんはしっきゃあ昼飯くうぎ田ん中さい出てしまうわけ。そいもんじゃっけんが、その姉やん1人して気のもむっ。そいが昼飯くうてじきやっけんもう、ぬっか最中じゃん。そいもんじゃってが、その家の裏のふとか濠に「ああ、ぬっかったぁ」というてね。川じのところまで飛び込うだ時まで見といなっさい。そいから先は姉やんがいつまでもあがってこんもんじゃさい。
「もう、姉やんが飛び込うでから、もういつまってん出てこん」
て。そいぎ、出てこんもんじゃい、うちは、大騒動たい。そいぎ、あんた、河そうがさいもうね、尻からさい、じごのいっぱい出とったよ。あたいが1年生にいきよった頃、7つか8つかやったぁ。
 棚じのとこれぇ髪でん、くう長うして、そのままあげたばっかいしてやった。そりゃーじごの出とった。

出典:鍋島町史p.312