狐の見送り

狐の見送り

■所在地佐賀市鍋島町
■登録ID2710

 大正8年ごろ、あるおばさんが、神野町に毎日田んぼの小道を歩いて通勤していました。ある日のこと、夕方、帰ってくる途中で日がうす暗くなってきました。おばさんは急いでいましたが、おきの森にさしかかると、急に右の肩が重く感じました。うしろを向いてもものかげはありませんでした。おばさんは、さらに急いで歩いていますと、左の肩まで重くなってきました。おかしいなと思い思い、自分の家の橋にきたら、急に肩がかるくなりすっーとしました。うしろをふりむいたときは狐の姿はありませんでした。おばさんは、これが狐の見送りだなと思いました。今でもその森口はのこっています。

出典:鍋島町史p.310