野狐のご膳迎え

野狐のご膳迎え

■所在地佐賀市鍋島町
■登録ID2707

 野狐の嫁入りちゅうとはもう、どうしたっちゃ、あがんと、ちょうちんばね、もう、ちょっと、ほんなちょうちんのごとっ、ずっと渡っていくよ。あの土手(チィチィ)ば。
 あたいどま八戸村おったけんがさい、あのチィチィ土手はね、もう、裏からひょーんと、しるっわけ。そいぎ、あの土手がもう、ひとばなれのねぇ。馬の死んぎ、あのチィチィ土手の下のよしのさい、竹のごとっして、太うしてよしでん広かもう。そこのきわに馬ば埋めていたて。そいけん、誰でんよおそうの悪しゃ通いよらんやったて。そがんところしか野狐はおらんわけ。
 野狐のご膳迎えちゅうてね、嫁御ばね、持つときは。そいぎね、そのちょうちんのね、もう、ちょっと、明かかごういのさがったとと同じこと。そや見たごとあっ。

出典:鍋島町史p.308〜309