淀姫さんとなまず

淀姫さんとなまず

■所在地佐賀市大和町
■登録ID2329

 淀姫さんの氏子にはなまずを食うてはならぬという掟があり、食えば腹が痛むといわれている。その昔、川上川には魚もたくさんいたが「かなわ」といって、まむしが年を経て変化したという怪物がいた。夜更けになって官人橋を渡るとこのかなわに襲われて死んでしまうので、土地の人はこの得体の知れない怪物に恐れおののいていた。ある夜2人連れの親子が舟に乗って川魚をとり始めたが、思いもよらぬ大漁なので時のたつのも忘れて夢中で漁をしていた。ところが突然火の玉のようなものが舟へ近づいてくる。あっ、これが日ごろ聞いていたかなわだと思った途端、2人ともびっくり仰天して気絶してしまった。それからどのくらいたったか、ふと気づいて辺りを見ると川岸に30cm余りの大なまずが死んでいた。恐ろしく腹がふくれているので、2人は恐る恐るなまずの腹を切り開いてみるとまさしくかなわをのみ込んでいた。さてはこのなまずが危ないところを助けてくれたのかと感涙にむせび、このことを村人に告げねんごろに葬ったうえ、今後はどんなことがあっても決してなまずを捕らない、なまずは食わないと淀姫神社に固い誓いを立てたという。また、なまずは淀姫さんのつかい(従者)だから食わないという伝えもある。

出典:大和町史P.663

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