大般若

大般若

■所在地佐賀市大和町
■登録ID2281

 大般若は「大般若波羅密多経」の略語である。「般若波羅密」とは「智慧到彼岸」ということで、この義を説いた諸教典を集成した大般若経は全部で600巻から成り、般若(智慧)よりみれば万有は吾人のみるような実有のものではなく皆空無想であるという大乗仏教の根本思想を説いたものである。凡俗にはわかりかねる教義だが、この600巻を全部地区へ運んできて、数人の僧侶が全部これを読みあげるのである。これは地区のお宮やお寺などで催され、地区人はこぞって参詣し、一人一人低頭してお経をあげてもらう。その日留守の者はその人の着物を持って行きそれにお経をあげてもらった。これはその人の健康を祈り病厄からのがれるのを念じるものである。昔100巻ずつ入った経箱を屈強の若者たちが寺から地区まで天秤棒でかついで運び、途中でおろして休むことは禁じられていたが最近はトラックで運ばれている。この大般若は毎年1月と5月の2回行われるが、法華宗と真宗では実施しない。現在も大願寺、大久保、五領、東山田など相当数の地区で行われているが往年ほどの参詣者は見られない

出典:大和町史P.652〜653