江口 辰五郎

  1. 諸富町
  2. 諸富町
  3. 江口 辰五郎

江口 辰五郎

■所在地佐賀市諸富町
■年代近代
■登録ID1628

海岸や河川敷などを散歩すると、ヒトデみたいな形をしたブロック・テトラポッドが、消波のために積んであるのが目に入る。テトラポッドはフランスの産である。アルプスのふもとグルノーブルのネールピックという水力発電会社で考案された。テトラはギリシャ語で「四つの」ポッドは「足」。その卓抜な機能性に目をつけたのが江口辰五郎。江口は明治35年(1902)8月4日、東川副村大字諸富津(現諸富町徳富)で材木商及び製材業を経営し、村会議員を務めた江口浅次郎、チエの五男として生まれる。佐中、佐高、京大と進む。昭和2年、京大工学部土木工学料を卒業。同年、内務省に入り大阪土木出張所、下関土木出張所関門海峡改良事務所長、昭和16年、苅田港修築事務所長、運輸省第四港湾建設部洞海湾工事事務所長兼小倉工事事務所長などを歴任。昭和25年、日本製鉄八幡製鉄所土木部長、同31年、建設局副局長兼土木部長、同33年、参与委嘱などを経て、昭和36年5月、日本テトラポッドの初代社長に就任し、テトラポッドの専用実施権をいち早く手に入れた。20年が過ぎて年間消費量5万トンから700万トンに伸び全消波ブロック消費量の半分に近く、業績の拡大に努めた。昭和52年6月、同社取締役相談役、同55年6月、相談役就任。この間、昭和37年3月、『製鉄工業港計画論』をまとめ、工学博士の学位を授けられ、同43年、八幡製鉄所退任、同45年11月、運輸大臣より交通文化賞、同49年6月、テトラポッドの普及功労者として、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章を授与された。著書に『佐賀平野の水と土』がある。同じ土木屋の先駆者である、成富兵庫茂安の水利事業をまとめた本である。技術士、勲三等。

出典:諸富町史P.1297