祇園

祇園

■所在地佐賀市諸富町
■登録ID1592

夏になると、伝染病や風水害・病虫害などが流行りだす。これらは悪霊・怨霊のせいだと考えられた。旧暦6月に多い夏の祭りは、祇園さんと呼ばれ悪霊を鎮める祭りで、本来は牛頭天王を祀る祇園社(八坂神社)の祭りであるが、氏神社をはじめ、小路毎に祀られる観音・地蔵・恵比須・太神宮などの祇園が行われる。
氏神社の祇園では、たくさんの露店が並び夜は芝居や花火大会があり賑わった。小路毎に行われる祇園は、子ども達が中心となり豆を抜いて行うので「豆祇園」とか、提灯をたくさんさげるので「千灯籠」ともいう。
例として諸富津における祇園を見てみると、7月17日−観音さんの祇園、7月20日−恵比須さんの祇園、7月25日−天満宮の祇園、8月4日−龍王さんの祇園と各区で行われる。観音さんの祇園は、男児が観音堂の掃除、提灯の張り替え、幟の準備、豆抜きなどをする。豆抜きは農家がないので諸富新村まで出かけた。子どもの生まれた家では提灯に名前を書いて奉納した。祇園が終われば、子ども大将の家で混ぜ飯をしてシメーイワイ(終い祝い)をした。龍王さんの祇園は、子ども達がお仮屋を洗い、新若組(青年−中老ともいう)に頼んでお仮屋を建ててもらった。
氏神社で行われていた祇園は、最近廃れたが、子ども達が世話をする豆祇園は、参拝人も多く現在も各集落で行われている。

出典:諸富町史P.1170