大野

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■所在地佐賀市東与賀町大野
■登録ID1162

大野は東与賀町の最西南部に位置する大集落である。
この大野に因んで『佐賀県干拓史(坤)』の「與賀地区の干拓」の記事の中に、「大野土井石垣」についての記録が載っている。その一部を要約したい。
「即ちこの土井筋20町余の地域は、藤津郡竹崎の真北に当たり有明海では一番風当たりが強く、潟のもとになる葭(よし)も生えない場所である。正徳年間(1711〜1715)の頃暴風と高潮のため、大野・住吉は言うまでもなく、鹿の子・灰塚・十五田畷(現在の佐賀市本庄町)まで大水害を被った。そのため佐賀藩では御城下までも災害を受けては大変だとして、領中から多数の割夫をかり集めて防波堤となる石垣を築いたのである。ところがたびたび暴風と高潮に見舞われて石垣は崩れ、その後は修復することもなく土井外にあって潟に埋まった」という。
また当時の潮止めの工作方法や、この付近の小搦は天保年間(1830〜1843)以後の干拓であること、事業者の名前と思われる搦の名称があるから、多分民営であろうと説明している。
以上のことは現在の大野の西区付近の土井外田より、住吉の南部土堤に至る土井の外線に西側から「高太郎割・伊勢ェ門・権右ェ門・直十・林右ェ門・利右ェ門」等の小搦が、東方へ一列に並んでいる。これらの人名は当時この小搦を築いた際の事業者か発起人を代表する名前であろう。

出典:東与賀町史P1219