堀と生活

堀と生活

■所在地佐賀市巨勢町
■登録ID687

巨勢地方では網の目のように堀が発達していた。これらは「堀」または「クリーク」と呼ばれ、巨勢地方の米作りには不可欠なものであった。これにより米作地帯を形成していた。それだけでなく、戦前までは住民の日常生活に重要な役割を果たしていた。
水田の灌漑や雨がふると排水の役目をはたし、お茶の水、炊事の水、風呂の水、米とぎ、洗濯その他の水、すべて堀の水を使っていた。子ども達は濁った水でも、夏はこの堀の水で泳いだ。また、海に遠いこの地区では、堀の淡水魚の世話になった。
堀から鮒釣りをしたり、投げ針やうけをつかい、「うなぎ」「なまず」「鮒」を獲り、春のごみ揚げや秋の堀り干しで多くの魚類を獲り、昆布巻、焼き鮒にして保存食にした。また、秋になると菱ちぎりをして「おやつ」にもした。このように、この地方の人は堀に親しみ、堀とともに生きてきた。

出典:巨勢町見てあるきP.31